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アメリカでの雇用

12.03.2021 | ブログ

アメリカでの雇用

米国は日本と違い、ほぼすべての州で雇用者・従業員の双方が、差別禁止法に関わる理由などの例外を除けば、いつでも自由に雇用契約を解約できる随意雇用 (Employment at-will) が原則です。半面、給与や勤務時間などの労働条件に対する規程は非常に厳しく、特にカリフォルニア州は米国の中でも特に厳格な法律によって労働者の権利を保護しています。雇用主は、フルタイムで働く従業員に対しては年間24時間または3日間の有給病気休暇 (Paid Sick Leave) を保障する必要があります。パートタイムや期間限定の雇用でも、年間30日以上勤務する従業員に対しては、30時間の勤務に対して最低1時間の有給病気休暇を付与することが義務付けられています。カリフォルニア州では、コロナウィルス感染拡大に対応し、従業員500名以上の一般企業及び500名以下の医療従事者を雇用する企業に対して、コロナウイルスに感染した従業員に80時間の有給病欠休暇を認めることを義務化しています。
更に1日の勤務時間が8時間に達する場合、雇用主は、従業員に10分間の休憩を2回(有給)と30分間の食事休憩(無給)を保障する必要があります。従業員の正確な勤務時間を記録すること雇用主の義務とされており、時給制で働く従業員(Non-exempt employee)に対しては就労時間を分単位で計算をして給与を支払う必要があります。もしもこの規定に違反した場合には厳しいペナルティーを課せられる可能性が生じます。

社内でのセクシャルハラスメントや差別的な発言・行動など、日系企業が犯しやすいミスの具体例、実際に起きた訴訟事例を教えてください。

日本と米国ではセクシャルハラスメントの定義が異なり、文化の違いから問題が生じることがあります。部下を2人きりの夕食に誘ったり特定の相手にプレゼントを渡したりことは避けた方が良いでしょう。また体型や容姿に関する話題、腕や肩に軽く触れるなどを含む身体への接触、性に関する雑談、結婚や交際などに関するプライベートな話題など、セクシャルハラスメントと認識されかねないさまざまなパターンがあります。特定人物の人種、宗教、性別、性的志向に関する発言は避けましょう。また、セクシャルハラスメントは男女の性別に関係なく起こり得ることに注意が必要です。

また、アメリカは差別問題にはとても敏感です。年配の従業員に仕事が遅いと言うことは、年齢差別と受け取られる可能性があります。冗談のつもりで馬鹿、頭が悪い、仕事が出来ない等の発言をすることも、障碍者差別として問題となる可能性があるため十分注意が必要です。

上記に対してトラブルを回避するために普段から気をつけておくべきこと、取り組んでおくべき対策を教えてください。

現在、日本企業が進出している多くの州では、雇用主が従業員にセクシャルハラスメント防止のためのトレーニングを提供することが義務付けられています。カリフォルニア州内の従業員数5名以上の企業であれば、非管理職の従業員には1時間、部下を持つ従業員には2時間のトレーニングを社内で提供することが必要です。昨今はオンラインのセクシャルハラスメント及び差別防止のトレーニングを提供する民間企業も多いので、これを利用し、法を遵守しましょう。もしも従業員からハラスメントの苦情が出た場合は注意深く対処する必要があるため、ハラスメントに対処することの出来る人材を置き、苦情を受けた場合の処理の方法を確立しておきましょう。また連邦法や州法の改正に対応するために、日頃から相談できる弁護士または法律事務所と連携を保っておくことが賢明と言えるでしょう。

セクハラ、差別以外で、日系企業でトラブルになりやすい事項、実際の訴訟事例と、それらのトラブル防止のためのアドバイスをお願いします。

日本では “サービス残業” として勤務時間外労働を行うことが暗黙の了解のようになっているケースがあり、未だにニュースなどで問題になることがありますが、カリフォルニア州では時給制で働く従業員の時間外労働に報酬を支払わないことは明確な違法行為となります。労働法および雇用法の規程はカリフォルニア州内のあらゆる業種のすべての企業が対象となりますが、特にレストランなどの飲食業やサービス業に多くみられる傾向があります。開店前の準備や閉店後の後片付けなどもすべて就労時間となるため、注意が必要です。

また、最低賃金も州法で決められており、カウンティによっても州法に違反しない範囲で独自の基準が設けられています。これに違反する契約は双方の合意があっても法的には無効となります。2016年には、カリフォルニア州でレストランチェーンを展開する日本企業(Gatten Sushi, USA)が、最低保証賃金違反と残業代未払いに加え、時間制で働く従業員の勤務時間を記録していなかったことを理由に約50万ドルの罰金の支払いを命じられています。https://www.dol.gov/newsroom/releases/whd/whd20160125-0

また、日本独特の先輩後輩の在り方も問題になることがあります。日本では先輩が後輩を見下すような話し方をすることもある程度受け入れられていますが、様々な文化的背景を持つ人達が働くカリフォルニア州では大きな問題になりかねません。指導のつもりで部下を人前で叱責したり、乱暴な言葉で指示を出したり用事を言いつけるようなことは許されません。2013年には高級寿司店が厨房で働くメキシコ系移民の従業員に対し、自分の包丁を買うように命じたり、残業代の未払いや休憩を取らせなかったりしたことを理由に罰金の支払いを命じられています。
https://www.nytimes.com/2013/07/21/us/at-an-upscale-beverly-hills-restaurant-claims-of-underpaying-workers.html

アメリカの職場でもチームワークは重要と考えられていますが、目標を達成するために個々がそれぞれのやり方を用いることが広く許容されており、チームとして成功することを目標としがちな日本とは大きく異なります。また仕事後に同僚や上司とお酒の場で信頼関係を深めていくことは日本ではよくあることですが、アメリカ人の同僚からは日本人同士で結束を深め、結果として昇進に繋げていると見られることがあります。アメリカ人も仕事後のHappy Hourと呼ばれるお酒の席に参加することはありますが、上司と行くことはほとんどないため、日本人同士の飲み会が人種差別の訴えを起こされるきっかけとなり得ることも十分考えられます。
アメリカでは職場で不当な扱いを受けたと感じた場合には声に出して主張することが当然の権利として認識されているため、苦情を受けた場合にはきちんと対処しなければ、従業員が弁護士を雇って損害賠償を求めてくることは決して珍しくありません。米国で起業するためには、日本との習慣や文化の違いをきちんと把握しておくことが必要です。

COVID-19 の影響によって増えた相談ケース(または今後予想される相談ケース)と、その対策方法を教えてください。

収益が大幅に減少した企業や店舗が家賃を払えなくなり、大家から退去を命じられる例が多く増えています。

企業として Work from Home を導入・運用していくうえで、トラブルを避けるために気をつけるべきこと、従業員との間で取り決めておくべきことなどの注意事項を教えてください。

コロナウィルス拡大の影響で現在リモートワークを導入している企業が急激に増え、現時点で既に2021年夏まではリモートワークを継続すると発表している企業もありますが、カリフォルニア州法では、従業員が業務を遂行するため必要なすべての支出は雇用主が負担しなければならないとされており、これには仕事に必要なコンピューターやデスクなどの他、電気代やインターネット接続費用も含まれます。不要なトラブルを避けるために、雇用主は、弁護士などの専門家に相談をして、法に基づいた必要経費の範囲、払い戻しの方法に加えて、第一に従業員の安全確保のための就労規則を確立することが必要不可欠です。


Kimura London & White 法律事務所は顧客のニーズを最優先にする、という理念の下にサービスを提供しており、顧客の話を聞き、コミュニケーションを大切にすることで顧客の皆様のご要望に沿った解決策を導き出します。あらゆる分野の民事訴訟や損害賠償請求に対応しておりますので、こんなことでも相談できるかな?という小さな疑問もまずはお気軽にご相談ください。

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