カリフォルニア州におけるUber (ウーバー) 事故の損害賠償請求について
11.11.2024 | ブログ
交通事故はどなたにとっても心身ともに大きな負担となりますが、Uber が関与する事故の場合は、さらに複雑な問題となります。事故による損害の補償を求める過程では、多くの困難に直面することがあるでしょう。そのため、ご自身の法的権利を正しく理解し、適切な賠償を受けるために必要な手続きを知っておくことが重要です。 本ガイドでは、カリフォルニア州においてUber事故の被害に遭われた方が、適切な補償を受けるためのプロセスについて、分かりやすく解説いたします。
カリフォルニア州におけるライドシェアサービスの特徴
カリフォルニア州は、Uber や Lyft などの大手ライドシェアサービス企業の本社所在地であり、業界において中心的な役割を担っています。しかしながら、こうしたサービスの普及に伴い、関連する交通事故の発生件数も増加傾向にあります。 ライドシェアサービスが関与する事故の場合、従来のタクシー事故とは異なり、運転者の個人保険と配車サービス会社の企業保険の双方が関係するため、賠償責任の所在を明確にすることが困難な場合が少なくありません。
そのため、適切な損害賠償を受けるためには、事故の状況に応じた慎重な対応が必要となるのです。多くの事例では、Uber 本社を直接の賠償請求の相手方とするのではなく、事故を起こした運転者が加入している保険会社に対して請求を行うことになります。なお、保険による補償額は、事故発生時の運転者の状況、つまり乗客を乗車させている状態か、配車依頼を待機している状態か、あるいはアプリをオフにしている状態かによって異なります。
Uber の損害保険制度について
Uber は 運転者向けの保険制度 を整備していますが、これは一律の補償内容ではありません。事故発生時の運転者の状態によって、適用される保険の内容が異なります。
状況別の保険適用内容は以下の通りです。
運転者の状態 | 補償内容 |
---|---|
アプリオフ (オフライン状態) | 運転者個人の自動車保険が適用 |
配車リクエスト待機中 | 運転者の個人保険で補償が不十分な場合、以下の補償が適用:対人賠償:1名あたり 50,000 ドル、1事故あたり 100,000 ドル、対物賠償:25,000 ドル |
乗客迎車中または乗客乗車中 | 第三者賠償責任保険として 1,000,000 ドルまでの補償 |
Uber運転者の個人保険が適用されない場合、Uberは追加的な保険 (二次保険) を提供しており、条件付き補償制度 (contingent coverage) と呼ばれています。ただし、この補償内容もカリフォルニア州が定める最低保険要件に準拠する必要がある点にご留意ください。
カリフォルニア州における Uber 事故の法的責任について
カリフォルニア州では「純粋比較過失の原則」を採用しています。では、この原則が Uber 事故の被害者にとってどのような意味を持つのでしょうか?この原則の下では、仮にあなた自身や Uber 運転者に事故の一部責任が認められる場合でも、損害賠償を請求することが可能です。賠償額は各当事者の過失割合に応じて調整されますが、このような法的な仕組みにより、公平な責任分担が実現されています。
例えば、Uber の乗客として事故に遭った場合を想定してみましょう。仮に事故の責任割合が、あなたに20%、運転者に80%あると認定された場合でも、損害賠償を請求することができます。ただし、最終的な賠償額は、あなたの過失割合である 20% 分が減額されることになります。
当事務所では、Uber 事故を専門とする弁護士が、カリフォルニア州の比較過失法制度について詳しくご説明いたします。事故における過失割合を適切に評価し、可能な限り十分な賠償金を確保できるよう、お客様に代わって損害賠償請求を進めさせていただきますのでご安心ください。
訴訟提起期限について
Uber事故に関する損害賠償請求には期限があります。カリフォルニア州の場合、人身傷害に関する 訴訟提起期限 (出訴期限) は事故発生日から2年間と定められています。この期限を過ぎると、損害賠償を請求する権利が消滅する可能性があるため、事故後は迅速な対応が必要なのです。
カリフォルニア州における Uber 事故の示談額の算定要素
示談金額は事案ごとに異なり、一律の基準をお示しすることは困難です。各事故には固有の状況があり、複合的な要素が示談額に影響を与えることになります。
Uber 事故の示談金額に影響を与える主な要因は以下の通りです。
- 傷害の程度:示談金額を決定する最も重要な要素の一つ。傷害が重度である場合、治療費用やその他関連費用が高額となるため、通常、示談金額も高額になります。例えば、一時的な軽傷に比べ、長期的なリハビリを要する後遺障害が残存する場合には、より高額な賠償が認められる傾向にあります。
- 休業損害:負傷により就労が困難となった場合、その損失も示談金額に含まれます。これには既発生の収入損失のみならず、将来的な収入の喪失も考慮され、長期的な就労能力に影響を及ぼすような傷害の場合、重要な算定要素となります。
- 身体的・精神的苦痛:財産的損害の他にも、身体的および精神的損害が示談金額に含まれます。これには身体的な苦痛や精神的苦痛、生活の質の低下などが含まれ、こうした非財産的損害の金額評価には、経験豊富な弁護士による専門的な交渉が不可欠となります。
事故発生時の対応手順
Uber 事故が発生した場合、以下の手順に従って対応することが重要です。
- 安全の確保:最優先すべきは、ご自身と他の関係者の安全です。可能な限り安全な場所に退避し、必要に応じて救急車や警察に通報してください。
- 情報の収集:事故現場では、情報収集が大切になります。相手方運転者の氏名、連絡先、保険情報、目撃者がいる場合は、その方の連絡先、事故現場の写真などが該当します。 また、事故発生の日時および正確な場所も必ず覚えておくようにしましょう。
- 医師による診察:軽度の傷害に思える場合でも、必ず医師の診察を受けてください。健康管理上必要なだけでなく、損害賠償請求における重要な証拠となります。症状によっては後日になって顕在化する場合もあるため、早期の受診が推奨されます。
- 事故の報告:警察および Uber 両方への事故報告が必要です。警察による事故証明書は、保険会社との交渉において重要な証拠となるだけでなく、人身傷害や物的損害が発生している場合、法律上の報告義務が生じる場合があります。
- 証拠の保全:次の書類は、すべて必ず適切に保管してください。診療記録、ライドシェアサービス会社や関係者との通信記録、車両修理の見積書、傷害に関連する全ての領収書、その他事故に関連する一切の資料。
- 弁護士への相談:ライドシェアサービスに関連する事故の被害者支援について豊富な経験を持つ弁護士に相談することで、より適切な対応が可能となります。当事務所では、お客様の法的権利についてご説明し、事案の特性に応じた法的対応を行いながら、治療費、慰謝料、休業損害などを含む十分な損害賠償の実現に向けて交渉いたします。無料相談をご希望の方は、お電話またはウェブフォームにてお気軽にご連絡ください。
まとめ
ライドシェアサービスの利用者として、あるいはライドシェアサービス車両が関係する事故の被害者として事故に遭われた場合、様々な法的権利が認められています。 保険制度が複雑で、手続きが煩雑に感じられることもあるかもしれませんが、適切な保険制度の理解と法的支援を得ることは、正当な賠償を実現するための重要な過程となります。この分野に精通した経験豊富な弁護士のサポートを受けることで、お客様の状況に応じた最善の解決を図ることが可能となります。
当事務所では、ライドシェアサービスに関連する事故を専門に扱う弁護士による無料相談を承っております。お電話またはウェブフォームにて、お気軽にご相談ください。相談料は無料で、ご依頼いただく義務は一切ございません。
Kimura London & White 法律事務所は顧客のニーズを最優先にする、という理念の下にサービスを提供しており、顧客の話を聞き、コミュニケーションを大切にすることで顧客の皆様のご要望に沿った解決策を導き出します。あらゆる分野の民事訴訟や損害賠償請求に対応しておりますので、こんなことでも相談できるかな?という小さな疑問もまずはお気軽にご相談ください。