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アメリカ雇用法・カリフォルニアで従業員を雇用する前に知っておきたい注意点
02.18.2026 | ブログ

アメリカ雇用法における雇用形態の誤りが招く法的リスクとは
アメリカ雇用法、特にカリフォルニア州でビジネスを行う日本人経営者にとって、従業員の雇用形態の理解は極めて重要です。日本の感覚のまま雇用を進めてしまうと、意図せず法律に違反し、未払い賃金請求や高額な罰金、訴訟リスクを負う可能性があります。
日本の「契約社員」はアメリカには存在しない
日本では一般的な「契約社員」という雇用形態はアメリカには存在せず、雇用形態は従業員 (Employee) か独立事業主 (Independent Contractor) のどちらかに区分されます。
さらに、従業員は、残業代等の労働時間規制が免除される「免除対象 (Exempt)」または、当該規制の適用を受ける「非免除対象 (Non-Exempt)」に分類されます。この分類を誤ると、Misclassification として、過去に遡って残業代を請求されるだけでなく、利息や罰金の支払いや、労働局や国税庁から課される行政処分や弁護士費用などのリスクにもつながるため、事前の正確な理解が不可欠です。
雇用区分の基本
カリフォルニア州の労働法では、雇用契約は大きく次の3つに分類されます。
| 区分 | 特徴 | 該当例 |
|---|---|---|
| Exempt (免除対象従業員) 給与・税金の年間報告書 W-2 | 月給または年俸制、原則残業代なし | 管理職・専門職・一定条件を満たすコンピューター専門職・営業職など |
| Non-Exempt (非免除従業員) 給与・税金の年間報告書 W-2 | 時給制、週40時間超の労働に対し残業代支払い義務 | パートタイム従業員も含む |
| Independent Contractor (独立請負人/業務委託) 給与・税金の年間報告書 1099 | 勤務時間や仕事のやり方を会社に管理されず、複数の勤務先を持つ。 | 専門職・技術職 |
Exempt として分類される条件
Exempt に該当するどうかは給与額だけで判断されるわけではありません。カリフォルニア州では、以下の2つの基準をいずれも満たす必要があります。
1. 給与基準 (Salary Basis Test)
2026年1月1日以降、カリフォルニア州における一般的なフルタイム Exempt 従業員の最低給与額は年間 $70,304 と定められています。この基準を下回る場合、職務内容に関わらず Exempt として扱うことはできません。https://www.dir.ca.gov/dlse/minimum_wage.htm
2. 職務内容基準 (Duties Test)
以下の点が重視されます
- 独立した判断・裁量を伴う業務であること。
- 業務時間の 50% 以上が免除対象業務であること。
https://www.calchamber.com/california-labor-law/exempt-nonexempt-employees
重要なのは、職務名や肩書きではなく、実際の業務内容です。たとえ「マネージャー」という肩書きがあっても、裁量のない日常業務や単純作業が大半を占めている場合、Exempt とは認められません
Independent Contractor (独立事業主) との業務委託契約に関する注意点
Independent Contractor との業務委託契約 (1099契約) には従業員に適用される労働法の適用なく、健康保険や有給疾病休暇を提供する義務もありません。そのため、労働者保護の観点から、業務委託契約かどうかを判断するために、以下の「ABC テスト」が用いられます。
https://www.dir.ca.gov/dlse/faq_independentcontractor.htm
- 業務の遂行に関して雇用主体からの指揮・管理を受けていない。
- 業務内容が、雇用主体の通常の事業活動の範囲外である。
- 独立した事業として、同種の業務や事業を、複数の雇用主体にも通常行っている。
誤った業務委託契約は、違法とみなされ、行政処分や未払い残業代の損害賠償請求などにつながるため、注意が必要です。
カリフォルニア州における福利厚生に関する法規制(2026)
https://www.hhs.gov/answers/health-insurance-reform/index.html
健康保険の提供義務
カリフォルニア州では、従業員50名以上の企業であれば、フルタイム従業員に健康保険を提供する義務がありますが、パートタイム従業員に対しては、健康保険を含む福利厚生を提供する義務はありません。
小規模事業や飲食店などではパートタイム従業員が多いため、フルタイムとパートタイムの区別を正確に管理することが重要です。パートタイム従業員を定義する労働時間は企業の裁量に任されていますが、一般的には週に30時間から35時間の労働時間を目安とされており、これを大きく逸脱することは認められません。労働時間の定義は、就業規則 (Employee Handbook) に記載することが必要です。
事前対策が企業を守ります
弊所では以下のサポートを通じ、法的リスクを最小化するお手伝いをしています。
- 雇用契約書・業務委託契約書のレビュー
- 職務内容 (Job Description) の分析
- 就業規則・社内ポリシーなど Employee Handbook の整備
アメリカ雇用に関する法的リスクは、問題が起きてから対処するのではなく、未然に防ぐことが最も重要ですが、万が一トラブルが発生した場合でも、状況に応じた適切な対応策をご提案いたします。
米国での事業展開や雇用に関するリーガルサポートについて、ぜひ一度 お気軽に日本語でご相談ください。